感情は選べるって知っていますか?私は1年前まで知りませんでした。
正確に言うと、ヨガや仏教哲学を学ぶ中で、自分の感情をマネージすることができるとは聞いたことがありました。でも、どうやってマネージするかは知りませんでした。
アメリカのジル・ボルト・テイラー博士の研究によれば、私たちの感情が生理的に持続するのは90秒だそうです。https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41w1d3TrWrL._SX298_BO1,204,203,200_.jpg
つまり、何らかの刺激によって化学物質が発生し、心臓がドキドキしたり、頭がカーッとなったりという生理的な反応を引き起こします。そして、興味深いのは、その物質は90秒後には血中からなくなるのだということです。
つまり、90秒を過ぎても怒りや恐れ、悲しみなど何らかの感情に浸っているのなら、それは自分がその状態にあることを選んでいるということです。
こう書きながら思い出すのは、私が夫に対して静かに、でもずっと怒りを感じていたこと。
私はかなり長いこと、夫に怒りを抱いていました。そう、文字通り抱え込んでいました。それも何年も。
その怒りは、私の長年の夢であった国際協力の仕事を諦め、家庭に入ると決めたことに端を発していました。その後、色々ありましたが、決定的に夫へのネガティブな感情を溜め始めたのは、私の二人目の子が欲しいという気持ちを、夫が頑として聞き入れなかったことがきっかけでした。
普段の生活の小さなことは私の気持ちを優先していくれるけれど、人生の大切な決断では絶対に自分を曲げない夫に怒りを感じるようになりました。
その怒りはたまに表に出て爆発することもあれば、自分への攻撃になることもあったし、夫が成功していることを妬む気持ちとして現れることもありました。「いつもどうして私ばっかり…」そんな気持ちがしくしくと心を蝕んでいるようでした。
自分の気持ちが私自身を苦しめていることに、薄々気付いてはいましたが、認めたくありませんでした。なぜか?
苦しい、醜い感情でも、それがなくなってしまったら自分がどうなってしまうか分からないという不安があったからです。ネガティブな感情だって自分の一部です。もしその怒りを手放してしまったら、私は先に進めなくなってしまうのではないかと、心配だったのです。
そして、もう一つは、起きていることが自分自身の問題だと受け止めることは勇気がいることだったということです。誰だって自分で責任を負うよりも、誰かのせいにして責任を押し付けている方がずっと楽なものです。
けれどもある日、気付きました。
夫が私の目を見なくなっていることに。
私が「でも」という言葉を口にする度に、彼の顔に影が射すことに。
夫は私にほとんど触れなくなっていました。私はそれが寂しいと思ったけれど、でも許してしまったら、私が得たいと思っているものを得られなくなってしまうのではないかと心配で、どうにもできませんでした。
でも夫の反応の変化に初めて気付いた時、何かしなければ夫婦関係が破綻するかもしれないと思いました。何なら別れてしまおうかとも考えたことは考えたのですが、息子が父親を失うことは避けたいと思いました。
何とかしなければ。夢を失った上に、家族まで失ってしまったら、私は本当に何にもなくなってしまう…。そうして、真剣に自分と向き合い始めました。
そして山崎千夏さんからNLP を学ぶことを決め、自分の感情は自分が作り出しているものだと学び納得した初日の講義の衝撃は忘れられません。
「全部私だったの⁉︎」
目の前で起きていること、例えば夫の言動や過去の出来事は、事実です。
それを自分のフィルターを通して見て、聞いて、感じて取り込み、何らかの意味づけをして、どんな感情を抱いてリアクションするかを決めているのは、私だったのです。
当然ながら、頭の中に夫はいません。すべて私が一人でやっていることです。けれども、自分の中でそんな一連の作業が行われていることに気付かないほど、その作業は迅速に滑らかに進みます。まるでよくできたコンピューターみたいに。

様々なワークを通して、感情とそれに付随する状態や行動は変えられることを実感し、ステートマネジメントをできることで、いかに楽に生きられるかということを身をもって経験することができました。その後、催眠療法を学んだことで、経験の意味づけや紐付いている感情を自分次第で変えていけるのだと確信するに至りました。
自分の感情はコントロールできないものだと思うことは、怖さや自信を失うことにつながると思います。
どんな人でも、反応にはパターンがあり、そのパターンを把握することで感情も変えていくことができます。こう書くと難しそうに感じるかもしれませんが、そんなことはありません。自分がネガティブな感情を感じた時に、なぜそう感じるのかを客観的に、好奇心を持って覗いてみることが発見につながり、改善につながっていきます。
そう、ご自分に好奇心を向けてあげてください。心の奥に秘めた感情はいつも、あなたに何か大切なことを教えるチャンスを待っていますよ。